捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「なんだ?」
 パチリ、と片目だけ開く。
 対話できた! いきなり攻撃してくるつもりはなさそうなので、イオレッタも安堵した。
(……というか、この街の人達、クライヴさん達に頼りっぱなしなんじゃ)
 と、一瞬頭をよぎったのは気付かないふり。イオレッタだって、たくさん頼っている。
「あー……、これだけ人間が多数集まっているところに、ドラゴンが姿を見せるというのは珍しい。街の者達が不安がっているので、何を望んでいるのか教えてほしい」
「ここが気に入った」
「気に入った?」
 クライヴだけじゃない。イオレッタ含む残り三人の声も綺麗に揃った。気に入ったからって、こんな街道のど真ん中に寝そべらなくても。
「ここは、精霊が多数集まっている。人間には感じられないかもしれんが、吾輩には心地いい空気なのだ」
「どうしましょ」
 たぶん、それはイオレッタがここにいるからだと思う。
 精霊使いの魔力は、精霊にとって一種のご馳走。イオレッタが無意識に流している魔力目当てに精霊達が集まってきている。
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