捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして

（セルヴィハさんに、ゼルマの相手をしてもらおうかしら……）
　セルヴィハが来てくれたら、ゼルマも退屈はしないですみそうな気がする。王族との会談を終えたあとなら、きっとゼルマも楽しめるだろう。
　このところばたばたしていたし、スィア湖でのんびりするというのも悪くはない。
　とは思ったのだけれど、その判断を、すぐに後悔することになってしまった。
　
　イオレッタは馬車を持っていないから、『ニバーン』の馬車を借りられないかと頼みに行ったら、なぜか彼らも同行することになった。
　Ｂ級冒険者なら、王族や貴族に会っても問題なさそうなものなのに――とはいえ。
（三人とも、貴族の家系って感じだものね。顔を合わせたくないのかも）
　イオレッタが気にするところではないので、彼らが同行してくれるというのならありがたく受け入れよう。
　それはともかくとして、王族が会いに来るというセルヴィハまで来てしまうというのはどうなのだ。
「本当に、セルヴィハさんまで一緒に来てしまってよかったの？」