捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 たしかにイオレッタと契約している精霊達とは時間の概念について話をしたことはなかった。一時間とか十日とか、時間の単位はちゃんと理解していたから、問題が起こることもなかった。
 なんとなく人間より気が長い気はしていたけれど、まさか十年も祝いが続くなんて。
「俺達にも、精霊が見えればいいんだけどな。魔力が集まってることしかわからん」
 クライヴは少し、残念そう。
 湖の上を精霊達がきゃあきゃあと笑いながら飛び交う光景はとても美しい。クライヴ達は精霊を見ることができないなんてもったいない。
「あら?」
 イオレッタは首を巡らせる。イオレッタの視線の先にいるのは、精霊使いのように見えた。精霊使いは、湖に向かって手を差し伸べている。
「あの人……」
 精霊と契約を結ぼうとしているのだろうか。
 人間と精霊の間に契約が結ばれるか否かは、人間の持つ魔力が精霊の好みに合うか否かによって決まる。
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