捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「それは聞かなかったことにしておきますね。財宝目当ての冒険者が巣穴に集まったら大変だもの」
 そう言えば、ドラゴンは巣穴に大量の財宝をため込む傾向にある。セルヴィハもキラキラしているものは嫌いじゃない、ということなのだろう。
「イオレッタ、セルヴィハ、行かないのか? 最初の店はレオニードのお勧めだ」
 少し離れたところからクライヴが呼びかける。
 レオニードお勧めの店ならきっとおいしいだろう。
 しばしばここを訪れている『ニバーン』の面々お勧めの屋台を回り、思う存分食べたり飲んだりする。
(こういう楽しみ方もあるって知らなかったな)
 屋台で買い物をすることはあっても、屋台巡りをすることはなかった。今日は人数も多いし、大皿で買ったものを取り分けて食べることもできた。いろいろな味を少しずつ楽しむことができるのは、大人数で回っている時限定の楽しみだ。
 さんざん飲み食いし、今日はもう夕食もいらないだろうと思い始めたのは、日がだいぶ傾いた頃だった。
 クライヴがイオレッタに向けて問いかける。
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