捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「俺は、神殿の方に回ろうかな。そっちからも圧力かけてもらった方がいいと思うんだよね」
 と、レオニード。なんだか、大変なことになってしまった。
 捕らえられた三人は、しっかりと拘束されている。
 セルヴィハは、三人と御者を乗せた馬車をえいと爪で掴んで持ち上げた。さすがドラゴン。馬車を持ち上げても、まったく動じていない。
「やめろ、離せ!」
「いやあああっ」
 馬車の中からは、伯爵とシャロンの声が響いている。
 他の二人はどうしたのかと思ったら、一人だけ拘束されていない御者は両手を組み合わせて、しきりに祈りの言葉をつぶやいているようだった。
 翼を広げたセルヴィハは、イオレッタとクライヴを背中に載せ、足で馬車を掴んだまま空に舞い上がった。
 空を飛んでしまえば、王宮まではあっという間である。
「少し、遊んでやろうか」
 とセルヴィハが笑った時、ちょっと嫌な予感はした。だが、セルヴィハは大きく口を開くと、全力で吠えた。
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