捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 伯爵家を捨てたわけではない。従兄弟の要請があれば、いつでも戻るつもりでいる。
 彼の相談相手ぐらいにはなれるだろうし――もし、どうしてもイオレッタが必要になった時には、爵位を継ぐのもかまわない。そのあたりの調整も、ラタント国王がうまくやってくれた。
「陛下もそれでいいとおっしゃいました。精霊師を貴族社会に縛り付けるのは難しいだろう、と」
 精霊と深くつながることのできる者がいれば、どうしたって期待せざるをえない。
 祖母は、次代に血を繋ぐことを求められた。その結果生まれた母は、精霊使いであって精霊師ではなかったことで自分自身を責め続けた。
 父との結婚に、精霊使いとしての能力を持っていないと思われていたことを利用するしたたかさも持ち合わせていたけれど、血を継ぐことを求められなかったら、違う道もあったかもしれない。
そして、呪いはイオレッタの代にまで残ることとなってしまった。
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