捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 他国のことだから、これ以上はイオレッタにも口を挟むことはできない。けれど、こちらもまた落ち着くべきところに落ち着いたのだろう。
「じゃあ、クライヴさんも近いうちに王宮に戻るんですか?」
「いや、俺はこっちにまだしばらくいるつもりだ。俺が必要になる事態はそう起こりそうもないからな」
 どうしよう。クライヴがまだしばらくここに残るつもりだと聞いて、嬉しいと思ってしまった。イオレッタはそんなことを望める立場ではないのに。
 伯爵家に戻らないと決めたのに――それでも、もう少し一緒にいられると思うだけで、胸がいっぱいになる。
「それで、だ。俺達が残るにあたり、ひとつ、提案がある」
「なんでしょう?」
「正式に、『ニバーン』に入らないか? 今だって、組んで仕事しているようなものだろ」
 クライヴの言葉が信じられなくて、イオレッタは目を瞬かせた。
 彼らと正式に一緒に仕事をすることができる。それも、同じパーティーのメンバーとして。
「いいんですか?」
「なんで?」
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