捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「だって、私、次男じゃないですよ?」
「それはそれ、これはこれ、だろ」
 ちょっと照れくさそうに笑ったクライヴは、イオレッタから視線をそらした。
 どうしたのだろう、とイオレッタが疑問に思った時。彼は再び口を開く。
「それと――あー、こっちを先に話すべきだったか?」
「なんでしょう?」
「その、だな」
 珍しく彼が口ごもる。イオレッタは、おとなしく彼の次の発言を待つことにした。
「俺の恋人になってほしい――というか、それを断ったからって、パーティーに入れないってことじゃないんだけどな! こっちを先に話すべきだったか、俺っ!」
 こんなにも彼が取り乱しているのを見るのも珍しい。イオレッタは、息をついた。
 今の、空耳だったらどうしよう。耳が熱い。心臓は大暴走中。
 もし、これが空耳だったら――でも、イオレッタの答えは決まっている。
「はい、喜んで!」
「喜んでって――いいのか?」
「今のまさか、冗談だったとかじゃないですよね? ちゃんとしたお申込みですよね? どうしよう、まさか空耳」
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