捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「何があったのかはわかりませんけど――『ニバーン』さん達は悪くないと思うんですよねっ!」
 隠れたところから、一方的に矢を射かけてくるなんて、まともな相手ではない。『ニバーン』の面々はゴルフィアに来てからのわずかな付き合いしかないが、きちんとした冒険者なのはわかっている。
「アルディ、攻撃いける?」
『いける!』
「フェオンは防御をお願い」
『リョウカイ』
「それなら、二人でお願い!」
 精霊達に攻撃と防御を任せておいて、クライヴの方に近づく。アルディの拘束を振り切ったのか、また新たな矢が襲いかかってきた。
「あー、もう!」
 早く怪我人の治療にかかりたいのに。こうなったら、出し惜しみしてはいられない。
「ヴァネッサ、助けて!」
 イオレッタの要請に応じて姿を見せたのは、三体目の精霊。太くて短い手足を持つ赤ちゃんのシロクマ。水の精霊ヴァネッサだ。
『んもー、人使いが荒いんだから!』
 と吠えたヴァネッサだったけれど、二本の後ろ足で立ち上がった。
『えーい!』
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