捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
ベルライン家に、精霊使いを呼び戻すという目的の婚姻ならば、いまだ能力に目覚めていないイオレッタより、目覚めたシャロンの方がいいと考えるのが当然だ。トラヴィスが、シャロンを愛しているというのなら、トラヴィスにとってもその方が都合がいい。
「シャロン、入っておいで」
イオレッタにかけるのとはまったく違う甘い声。
先ほどの悪人面は消え失せて、王子様がそこにいる。顔がいいって得だな、と今日何度目かの感想を抱いている間に、異母妹のシャロンが姿を見せた。
「お姉様、ごめんなさい」
大きな青い瞳に涙をいっぱいに浮かべたシャロンは、両手を胸の前で組み合わせる。
地味な容姿のイオレッタとは違い、シャロンは同じ茶の髪をしていても、立っているだけでその場が華やぐようだった。
「私、私……」
トラヴィスに寄り添うようにしたシャロンの目から、ぼろぼろと涙が零れ落ちる。貴族としての礼儀をどうこういうのなら、シャロンをどうにかする方が先だろうに。
「シャロン、入っておいで」
イオレッタにかけるのとはまったく違う甘い声。
先ほどの悪人面は消え失せて、王子様がそこにいる。顔がいいって得だな、と今日何度目かの感想を抱いている間に、異母妹のシャロンが姿を見せた。
「お姉様、ごめんなさい」
大きな青い瞳に涙をいっぱいに浮かべたシャロンは、両手を胸の前で組み合わせる。
地味な容姿のイオレッタとは違い、シャロンは同じ茶の髪をしていても、立っているだけでその場が華やぐようだった。
「私、私……」
トラヴィスに寄り添うようにしたシャロンの目から、ぼろぼろと涙が零れ落ちる。貴族としての礼儀をどうこういうのなら、シャロンをどうにかする方が先だろうに。