君のそばにいたい 〜『君が望むなら…』続編〜
「ごめん…でも僕は、できることなら片時も離れたくはない。それでも貴女の自由を奪ってしまわないようにしたいから…」

 彼は真剣な声で言う。しかし彼の言う意味が全く分からない。

 彼は自分のせいで私が恨まれたのだと分からないのだろうか?

「いい加減にして!!貴方が付きまとうから私の自由が無くなるのよ!」

 私は自分の言葉遣いが戻っていることにも気付かず続ける。

「私は一人でいたいの!恋人も、まして夫もいらないわ!!貴方に何が分かるのよ…!私はずっと惨めだった。…惨めではないと、彼のためにと自分に言い聞かせてずっとやってきた、でも…!!」

「…そう、ずっと君は自由に生きることを我慢をしてきたんだね…。ねえ君は、そんな自由を奪った“彼”が嫌い、だったかい?」

 私は尋ねられ、彼から真っ直ぐに届いた言葉にはたと気付く。

「…そんなこと、考えたことも無かった…好きだったのかどうかも分からない…過ぎたこと…だって、あの人はもう……」

 私のその言葉は小さく消え入るようなものだった。

 私は、相手が好きだったかどうかすら分からないまま、あの短い結婚生活を終えたということ。
 彼から好きだと言ってもらった覚えもない。

 ずっと、貴族との結婚生活に自分の心が縛られていたから…
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