君のそばにいたい 〜『君が望むなら…』続編〜
次の日もその彼は私の働く店の裏へやってきた。
私はいつも他の男たちにするように老婆の振りのまま彼をあしらうけれど、一向に動じた様子はない。
「一度だけでもいい。僕と付き合って欲しい」
最初に会った時の彼の軽い口調や様子とは一変、真剣な声、真剣な眼差しで私を見ている。
「なぜ私なの!!放っておいて、私は静かに暮らしたいのよ!」
老婆らしい声のことなど忘れ、私はそう言い放った。
「…僕は前に、貴女のおかげで救われた。自分の殻に閉じこもっていた僕を…。僕には、貴女しかいないんだ!」
彼は真剣な声でやっとそう理由を話すけれど、私には何のことか分からない。
こんな男性を、私は知らない…
私は何とか気持ちを落ち着かせてから、
「…知らない…私は、あんたなんか知らないよ…花嫁探しなら、他の若い娘を探すんだね…!」
そう言って彼に背を向けた。
それでも彼は諦めるつもりはないらしい。
「他の娘など要らない、僕は貴女のそばにいたいんだ。貴女が自由に生きるための道を、邪魔したりはしたくない。けれど僕が貴女を強く想っていることを、忘れてほしくない。お願いだ、“アギー”」
アギーというのは、私が第二の人生に老婆と偽って生きるために名乗っている名前。
もしかしたら彼は私を、遥か前に生き別れた誰かと勘違いしているのかもしれない。
しかし、こんなに想われている相手を羨ましく思ってしまうほどに、真っ直ぐな彼の言葉。
私はいつも他の男たちにするように老婆の振りのまま彼をあしらうけれど、一向に動じた様子はない。
「一度だけでもいい。僕と付き合って欲しい」
最初に会った時の彼の軽い口調や様子とは一変、真剣な声、真剣な眼差しで私を見ている。
「なぜ私なの!!放っておいて、私は静かに暮らしたいのよ!」
老婆らしい声のことなど忘れ、私はそう言い放った。
「…僕は前に、貴女のおかげで救われた。自分の殻に閉じこもっていた僕を…。僕には、貴女しかいないんだ!」
彼は真剣な声でやっとそう理由を話すけれど、私には何のことか分からない。
こんな男性を、私は知らない…
私は何とか気持ちを落ち着かせてから、
「…知らない…私は、あんたなんか知らないよ…花嫁探しなら、他の若い娘を探すんだね…!」
そう言って彼に背を向けた。
それでも彼は諦めるつもりはないらしい。
「他の娘など要らない、僕は貴女のそばにいたいんだ。貴女が自由に生きるための道を、邪魔したりはしたくない。けれど僕が貴女を強く想っていることを、忘れてほしくない。お願いだ、“アギー”」
アギーというのは、私が第二の人生に老婆と偽って生きるために名乗っている名前。
もしかしたら彼は私を、遥か前に生き別れた誰かと勘違いしているのかもしれない。
しかし、こんなに想われている相手を羨ましく思ってしまうほどに、真っ直ぐな彼の言葉。