完全犯罪を成し遂げる方法
そうLINEを送ればすぐに既読がついて、『今すぐ行くよ』と送られてくる。私がタワマンの部屋に帰って数分後には、幼なじみは駆け付けてくれた。

「美樹、大丈夫?」

そう言い部屋に入って来たのは、幽月百合(ゆづきゆり)。分厚いメガネの地味子なんだけど、頭いいから仲良くしてる。課題とか頼んだらやってくれるからね。百合のお父さん、うちのパパの傘下の会社で働いてるから、私の頼み事は何でも聞いてくれるし。

「百合〜、聞いてよ!疥癬だって!マジ最悪なんだけど〜!」

そう体を掻きながら言い、あのクソ男の話をしようとした私はあることに気付く。百合の持っているバッグ、超高級ブランドの新作だ。こんなの、普通の家庭の百合が買えるものじゃない。

「百合、そのバッグどうしたの?」

私が訊ねると、百合は「ああ、これ」と言いながらバッグに触れる。

「宝くじが実は当たってね〜。ちょっと贅沢し過ぎかな?」

そう話す百合の着ている服、身に付けている時計も、パッと見は地味だけどブランドの物。それが何だか悔しくて、私は唇を噛み締める。
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