推しは策士の御曹司【クールな外科医と間違い結婚～私、身代わりなんですが！】スピンオフ

　その夜はときめく心を落ち着かせるように時間をかけてお風呂に入り、寝る前にもう一度ネックレスを手にして首にかけてみる。すっぴん顔のＧＵスェットには似合わない。せめてジェラピケが欲しいところだ。
「別世界なのかなぁ」ひとりの部屋でつぶやいてしまう。口に出すと虚しさが一層増してしまうあぁダメダメ！こんな後ろ向き発言はネコバス芽愛ちゃんが牙をむく。悪い言霊飛んでいけ！
　せめてこのネックレスに少しでも近づけるような女子にならなきゃ。きっとそういう意味で運の神様が当ててくれたのかもしれない。せっかく専務の笑顔をもらったんだからこれではダメ！
　今日の夢のような出来事をもう一度思い出す。至近距離での専務の笑顔。癒される優しい笑顔。上品でキラキラオーラが半端なかった。名前を呼んでくれた。
　この思い出だけで、５年は頑張れる気がする。うん。頑張ろう。