推しは策士の御曹司【クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!】スピンオフ

 琉希が見つけたイタリアンレストランは明るくて清潔感があり、値段もリーズナブルで料理が美味しい。
「完璧だよ琉希」
 半個室だけど10名ほど入れる部屋もあるのでありがたい。全員参加しても8人だから余裕の広さを確保できる。
「よく見つけたね。ありがとう」
 ベリーのジェラードを食べながら大満足の私だった。あとは日程と会費の話をつけて終わり。鶏もも肉とチーズのオーブン焼きを是非コースに入れてもらいたい。お値段高いかな。野菜が美味しかったから女子も大喜びだろう。
 白シャツに紺のニットを着た琉希は職場のカチッとした雰囲気はなく、髪の毛もふんわりと崩していておしゃれなカジュアル男子だった。琉希も顔が小さいからモデル体型だな。専務みたいだ。
「帰りに色々聞いてみよう」と言われたので「そうだね」と返事をする。
 琉希は頭の回転も速く行動的で、同期だけど大学四年の時に働きながら語学留学というワーキングホリデーでカナダに行っていたから、年齢はひとつ上だった。そのうえ常務の甥御さんで芽愛ちゃんいわく【優良物件】らしい。

 その優良物件に
「咲月は誰か特定のヤツっているの?」と、聞かれてしまった。
 特定……推しならいるけど。それはまた別の話だろう。
「いないけど」小さな声で答えると「俺っていう選択はない?」って言われた。
「わかりずらい質問なんだけど」って言うと、ちょっと怒ったような顔をして「俺と付き合わない?」って言われてしまった。
 ムズムズした。
 上手く言えないけれど、嬉しいじゃなくて、嫌だじゃなくて、正確に言えば、嫌じゃないけどムズムズして、妙な気分だった。
「怒った顔してる」何か言わなきゃで、そんな一言が出た。
「ごめん。緊張すると怖い顔になる」って素直に言うので、緊張がほぐれた。


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