絶対にずっと好きだと証明しましょう
「で、そこで楓ちゃんはなんて返事をしたんだったっけ?」
「そこって?」
「他の人と一緒にいたいならそれでいいって言われたとき」

楓はその時の会話を思い起こす。

「それって別れてもいいってことかと聞きました」
「なるほど。それだと俺と付き合うために別れてもいいのねって、樹に承諾を得ているみたいでもあるな」

ユーゴはうーんと唸りながら腕を組む。

「そんな。私は樹に新しい彼女ができて別れたがっていると思ったから、私とはもう別れちゃってもいいのねって念を押したんですけど」
「そこだよ。楓ちゃんだって樹にちゃんと聞けばよかったんだよ。好きな人ができたのかって。すごいな、こんなに長く付き合っているのに勘違いし合って別れるなんて」

冗談ではない。親切心とはいえ、ユーゴたちの余計なお世話で楓の絶対の証明が幕を閉じてしまったのだ。

「感心してる場合じゃないです。勘違いの種を蒔いたのはユーゴさんですから。もうどうしてくれるんですか」

楓はごつんと音をさせて木のテーブルに額を落とした。
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