絶対にずっと好きだと証明しましょう
「沙耶と僕が一緒にいるところを見て、僕に他の女性がいると勘違いしたらしく頭にきたらしい。それで楓は僕が楓のことを好きなのかいつも不安に思っている。それに反してユーゴ君の話をする楓はとても楽しげだそうだ。もうそろそろ楓を開放してやってくれ。ユーゴ君に渡してあげてほしい、そう解釈した」
「そのときの沙耶さんと樹の写真を美幸さんが送ってきてくれたの。私を心配して」
「心配? 僕には悪意しか感じないけど。それにしても知らないうちに勝手に写真を撮られてやり取りされているって怖いな」

樹は不快そうに顔を歪めた。
付き合っていた長い間にも見たことがない不機嫌さだった。

自分の写真が勝手に撮られて、知らない間に知らない人との間でやり取りされているというのは今ではありふれたことだけど確かに怖い。
気持ちが悪い。
昔に比べて表向きは個人情報の取扱いが厳しくなったが、実際は個人情報保護なんて濡れた障子紙のように抵抗力がないに等しい。
指を突っ込めばどんな情報でも覗けてしまう。
でも、それを嫌悪しているのも望んでいるのも私たちだ。
他人のプライベートはいつから誰にとっても美味しいご馳走になったのだろう。
実際食べてもいないのに、てんこ盛りの想像というシーズニングでお腹いっぱい楽しめる。
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