絶対にずっと好きだと証明しましょう
「ありがとう。すごい楽しかった」
「じゃあプラン2。楓、お腹空いた?」

お昼は講義の前に売店で買ったサンドイッチだけで、時計を見ると間もなく7時半になるところだった。
「聞かれたとたん空いてきた」と答えると、樹はちょっと待ってとスマホでどこかに電話をいれて、それからまた行き先を言わずに楓の手を引いた。

連れていかれたのは地上50階建ての高層マンションで、入り口でとまどう楓を気にせず樹はインタフォンを押した。
ガラス張りの扉が開く。
中に入るとまるでホテルのような広いエントランスホールがあり、樹は受付にいるスーツ姿のコンシェルジュに軽く頭を下げて挨拶をすると慣れた様子でエレベーターに乗り込む。

話の流れからレストランにいくのだと思っていた楓は先が読めず少し不安になる。
ここが樹の家ではないことはわかる。

「誰かの家に行くの?」
「そうともいえるし、そうじゃないともいえる」

樹はあいまいな答えかたをして、32階でエレベーターを降りた。
「え、なに? もしかして秘密クラブとか? まさかやばいパーティとかじゃないよね」という楓の言葉は無視された。
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