絶対にずっと好きだと証明しましょう
樹が3205室のドアを引く。
鍵はかかっていなくて、ドアが開いたとたん中からおいしそうな匂いが漂ってきた。
楓が樹に促されるまま玄関から廊下を進み、広いリビングダイニングに入っていくと、
6人掛けの白いテーブルの上にランチョンマット、グラス、食器がきれいにセットされていた。
「おかえり」
カウンターキッチンの奥から突然、胸からエプロンをかけた大柄で彫りの深い顔の男性が現れて、楓はあっと声を上げて1歩退いた。
「そんなに驚かなくても」
目元を緩めるととたんに親しみのある顔になる。
「彼、僕の従弟のユーゴ君」
「初めまして」
「あ、初めまして。日向楓です。すみません、突然おじゃましちゃって」
と、挨拶は交わしたものの事情がのみこめないでいる楓に樹とユーゴが種を明かした。
「ユーゴ君はこのマンションに住んでいて、ここはゲストルームなんだ」
「樹がいきなりおいしい料理を教えろって言うから何かと思ったら、彼女のために作るなんていじらしいこと言うわけよ。でも一から教えるの時間かかるし面倒だろ。だからこの場所を提供して、ついでに従弟のよしみで手伝ってあげてるってわけ」
あっ。
楓は樹とのあるシーンを思い出す。
それは昨年、大学のカフェテリアで樹とランチを食べていたときのことだ。
樹の従弟は料理が上手で、樹も簡単なものなら自分で作って食べるというので、楓は樹の料理が食べてみたいと口にしたのだ。
昼間、樹はユーゴに手ほどきを受けながらここで料理の下準備をしていたらしい。
ローリエかローズマリーか、樹からハーブの香りがするような気がしたのはそのせいだったのだ。
鍵はかかっていなくて、ドアが開いたとたん中からおいしそうな匂いが漂ってきた。
楓が樹に促されるまま玄関から廊下を進み、広いリビングダイニングに入っていくと、
6人掛けの白いテーブルの上にランチョンマット、グラス、食器がきれいにセットされていた。
「おかえり」
カウンターキッチンの奥から突然、胸からエプロンをかけた大柄で彫りの深い顔の男性が現れて、楓はあっと声を上げて1歩退いた。
「そんなに驚かなくても」
目元を緩めるととたんに親しみのある顔になる。
「彼、僕の従弟のユーゴ君」
「初めまして」
「あ、初めまして。日向楓です。すみません、突然おじゃましちゃって」
と、挨拶は交わしたものの事情がのみこめないでいる楓に樹とユーゴが種を明かした。
「ユーゴ君はこのマンションに住んでいて、ここはゲストルームなんだ」
「樹がいきなりおいしい料理を教えろって言うから何かと思ったら、彼女のために作るなんていじらしいこと言うわけよ。でも一から教えるの時間かかるし面倒だろ。だからこの場所を提供して、ついでに従弟のよしみで手伝ってあげてるってわけ」
あっ。
楓は樹とのあるシーンを思い出す。
それは昨年、大学のカフェテリアで樹とランチを食べていたときのことだ。
樹の従弟は料理が上手で、樹も簡単なものなら自分で作って食べるというので、楓は樹の料理が食べてみたいと口にしたのだ。
昼間、樹はユーゴに手ほどきを受けながらここで料理の下準備をしていたらしい。
ローリエかローズマリーか、樹からハーブの香りがするような気がしたのはそのせいだったのだ。