絶対にずっと好きだと証明しましょう
ユーゴは大手飲料メーカ―のマーケティング部でブランドマネージャーをしている。
近い将来フランの経営を担うための勉強でもあるらしい。
楓はユーゴの部署でコピーをとったり会議用の資料を揃えたりするなどの雑務をしていたが、次第にリサーチ用の情報収集や集めた情報を資料にまとめるといった仕事も頼まれるようになり、たまに新規企画のアイディア出しなどにも参加させてもらうようになった。

会社で働くのは初めてで、最初はコピー取りでも緊張していた。
資料のまとめ方がよくわからずだらだら情報を並べて書いたら、ユーゴではないほかの社員に「わかりづらいなあ。大学のレポートじゃないんだからさ」とつぶやかれてものすごくへこんだ。
大学生のバイトに資料のまとめ方を教えてやり直しさせるほど会社は暇ではない。
結局、楓がまとめた情報をもとにその人が自分で資料を作りなおした。
二度手間になっただけでと楓がしょげていたら、最初はみんなそんなものだよと、ユーゴが資料のまとめ方を教えてくれた。
彼は細かいことには気にしないおおざっぱなタイプだと思っていたが、仕事に関してはとても細かい。
細かいというかスキも無駄もなく、つまり仕事ができる。
就職したらユーゴみたいな優しくて楽しくて頼りがいのある上司だったらいいなと楓は思った。
< 26 / 116 >

この作品をシェア

pagetop