絶対にずっと好きだと証明しましょう
アメリカに行った樹とは週末にビデオ電話で話すことにしていた。
時差があるので平日はなかなか時間を合わせることができない。
日曜の夕方5時から夜の10時(コネチカットは朝7時から12時)の間に樹から電話がかかってくることになっている。

フリーで使えるライン電話はお金のない大学生の遠距離恋愛にはとても有り難い。
話す内容はお互いの1週間分のたわいない近況報告だが、海外に行ったことがない楓にとって樹が話すアメリカの学生生活や町の話はなんでも面白かった。

大学の寮は2人一部屋で、樹のルームメイトはLAから来たサーフィン好きの学生だという。

「健康的で明るくていかにもカリフォルニアの輝く太陽が似合うナイスガイだよ」
「カッコいい?」
「見たい?」と樹が聞いたとたん、くりくりした金髪の白人男性が画面に現れ、ハロー、こんにちはーと手を振っている。ハローと手を振り返すと「ハロー! アー、ワタシハ、ジェームスデス」と人懐こい笑顔を見せてから樹に代った。

「本当、明るいね」
「うん、ユーゴ君並み」
「そういえばユーゴさんがイエール大学のステンレスボトルを買って送ってくれって言ってたよ」
「やだよ、なんでステンレスボトルなんだよ。自分で買いに来いよ」
「そのまま伝えておく」
「ユーゴ君の会社のバイトはどう?」
「わからないことも多いけどユーゴさんが親切にフォローしてくれるからなんとか。ユーゴさん、丁寧に教えてくれるからすごく勉強になる」
「あれで面倒見いいからね」
「仕事ができてカッコいいのよ」
「ふーん」
「あ、妬いた?」
「別に」
「なーんだ」
「なんで従弟に妬くんだよ」

画面の向こうで樹が笑う。近いようで遠いなあと思う。
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