絶対にずっと好きだと証明しましょう
樹の大学の夏休みが終わるまではのどかにテレビ電話で逢瀬を続けていた。
けれど新学期が始まると楓よりも樹の方が時間に余裕がなくなり、毎週のテレビ電話デートもままならなくなった。
アメリカの大学は課題の量が半端じゃない。
1日に大量のリーディングの課題が出るそうで、ネイティブかどうかに関係なくその量を読むのは大変らしい。
学生は皆、図書館にこもりきりになるという。
樹はなにかに夢中になると食事も抜かして集中してしまう。
山盛りの課題に取り組んでいるときには時間を忘れ、気づけば楓との電話タイムを逃していたということもしょっちゅうだった。
日曜日の夕方はスマホを前に楽しみに待機している楓の方はすっぽかされて大層がっかりするが、仕方がない。
仕方がないと思ってはいるのだけど――。
楓は大学の夏休みが終わった後もユーゴの会社でバイトを続けた。
大学では学べない仕事を覚えることができるし、樹のことばかり考えてしまう時間を減らしたいという気持ちもあった。
授業があるので多くは働けなかったが、1日3時間程度でも仕事があればなるべく多くバイトに入れてもらっていた。
この日はちょうど仕事を終えたユーゴと途中まで一緒に帰ることになり、ビルから外に出たとたん「元気ないね」と顔を覗き込まれた。
「樹から4週間も連絡がなくて」
「それはひどいけど樹らしいな。あいつ勉強好きだろ。向こうの大学は専攻を決めなくていいから片っ端から受けちゃってんじゃないの? 課題は多いし他の学生とやたらディスカッションするし、本当に慌ただしいんだよ」
「ユーゴさんも留学していたんですか?」
「うん、実はイエールを勧めたのは俺なんだ。リベラルアーツ教育が刺激的で面白かったから。だから許してやって」
「あ、別に怒ってるわけじゃないです。忙しいの、わかってます。すみません、遠距離な上に1カ月も話していないから不安になっちゃって」
「近くにいるのに会話がないよりいいじゃない」
けれど新学期が始まると楓よりも樹の方が時間に余裕がなくなり、毎週のテレビ電話デートもままならなくなった。
アメリカの大学は課題の量が半端じゃない。
1日に大量のリーディングの課題が出るそうで、ネイティブかどうかに関係なくその量を読むのは大変らしい。
学生は皆、図書館にこもりきりになるという。
樹はなにかに夢中になると食事も抜かして集中してしまう。
山盛りの課題に取り組んでいるときには時間を忘れ、気づけば楓との電話タイムを逃していたということもしょっちゅうだった。
日曜日の夕方はスマホを前に楽しみに待機している楓の方はすっぽかされて大層がっかりするが、仕方がない。
仕方がないと思ってはいるのだけど――。
楓は大学の夏休みが終わった後もユーゴの会社でバイトを続けた。
大学では学べない仕事を覚えることができるし、樹のことばかり考えてしまう時間を減らしたいという気持ちもあった。
授業があるので多くは働けなかったが、1日3時間程度でも仕事があればなるべく多くバイトに入れてもらっていた。
この日はちょうど仕事を終えたユーゴと途中まで一緒に帰ることになり、ビルから外に出たとたん「元気ないね」と顔を覗き込まれた。
「樹から4週間も連絡がなくて」
「それはひどいけど樹らしいな。あいつ勉強好きだろ。向こうの大学は専攻を決めなくていいから片っ端から受けちゃってんじゃないの? 課題は多いし他の学生とやたらディスカッションするし、本当に慌ただしいんだよ」
「ユーゴさんも留学していたんですか?」
「うん、実はイエールを勧めたのは俺なんだ。リベラルアーツ教育が刺激的で面白かったから。だから許してやって」
「あ、別に怒ってるわけじゃないです。忙しいの、わかってます。すみません、遠距離な上に1カ月も話していないから不安になっちゃって」
「近くにいるのに会話がないよりいいじゃない」