絶対にずっと好きだと証明しましょう
「楓ちゃんと樹っていつから付き合ってるの?」
「高校3年から」
「へえー、申し込んだのは樹から?」
「いえ、私から」
楓が付き合うまでに至った経緯を話すとユーゴは「絶対なんてあり得ないか、面倒なやつだな」と赤ワインをなみなみ継いだグラスをくるくる回し、「でも楓ちゃんの絶対を証明するためには一生樹に添い遂げるってこと?」と聞いてからそのグラスを口に運んだ。
理論的にはそうなる。
と楓は考える。
でも、だとすればこの実験の成功は楓がずっと樹を好きであるということよりも、樹にかかっているといえる。
もしくは樹がたとえ楓の元から離れても、楓だけ変わらぬ思いを抱いて生き続けるとか。
いや、それは楓自身が仕掛けたこととはいえあまりに切ない。
「私の一存ではなんともできないので」
楓もワインを飲むというより一口すすった。
滑らかで果実味が豊かなワインを飲み慣れていない楓にも飲みやすいワインだった。
「そりゃそうだ」
ユーゴはくすりと笑った。
樹とはタイプの違うきれいな笑顔。
樹が青紫とか藍色の寒色系ならユーゴはマリゴールドとかオレンジみたいな暖色系だとつい比べてしまう。
「あの、どうして樹は絶対なんてあり得ないなんて断言したんでしょうか」
「実際、絶対温度とか絶対君主とかの絶対はあり得るけど、副詞的な絶対なんて超不確かだからね。たとえば絶対行くとか絶対食べるとかいっても、事故や病気になって行けないかもしれないし食べられないかもしれない。絶対寝ないって思っても、睡眠薬で眠らされたら寝ちゃうでしょ。まして感情ほどあいまいなものはないからね」
「それはその通りなんですけど」
「問題は可愛い女子からの告白を、高校生の樹がなぜそんな理屈っぽくシニカルにかわしたかってことだけど」
「高校3年から」
「へえー、申し込んだのは樹から?」
「いえ、私から」
楓が付き合うまでに至った経緯を話すとユーゴは「絶対なんてあり得ないか、面倒なやつだな」と赤ワインをなみなみ継いだグラスをくるくる回し、「でも楓ちゃんの絶対を証明するためには一生樹に添い遂げるってこと?」と聞いてからそのグラスを口に運んだ。
理論的にはそうなる。
と楓は考える。
でも、だとすればこの実験の成功は楓がずっと樹を好きであるということよりも、樹にかかっているといえる。
もしくは樹がたとえ楓の元から離れても、楓だけ変わらぬ思いを抱いて生き続けるとか。
いや、それは楓自身が仕掛けたこととはいえあまりに切ない。
「私の一存ではなんともできないので」
楓もワインを飲むというより一口すすった。
滑らかで果実味が豊かなワインを飲み慣れていない楓にも飲みやすいワインだった。
「そりゃそうだ」
ユーゴはくすりと笑った。
樹とはタイプの違うきれいな笑顔。
樹が青紫とか藍色の寒色系ならユーゴはマリゴールドとかオレンジみたいな暖色系だとつい比べてしまう。
「あの、どうして樹は絶対なんてあり得ないなんて断言したんでしょうか」
「実際、絶対温度とか絶対君主とかの絶対はあり得るけど、副詞的な絶対なんて超不確かだからね。たとえば絶対行くとか絶対食べるとかいっても、事故や病気になって行けないかもしれないし食べられないかもしれない。絶対寝ないって思っても、睡眠薬で眠らされたら寝ちゃうでしょ。まして感情ほどあいまいなものはないからね」
「それはその通りなんですけど」
「問題は可愛い女子からの告白を、高校生の樹がなぜそんな理屈っぽくシニカルにかわしたかってことだけど」