絶対にずっと好きだと証明しましょう

真夏の植物園

3年の夏休みは樹も楓もそれぞれ週3から週4でインターンシップやアルバイトに勤しんでいたので忙しかった。
それでも去年一緒に過ごせなかった分を取り返すように、楓はできるだけ樹とのデートを設定した。
映画を観に行き、買い物に行き、プールに行き、植物館に行った。

暑いのにわざわざ熱帯植物館に行こうなんて発想は樹のものだった。
樹は湿度も気温も高い熱帯雨林の環境をモデルに造られている植物園に入ると、普段見慣れないバニラやバナナ、ウツボカズラなんかの食虫植物を一つ一つ丁寧に見て回り、たまに何かに納得したように、へえーと声を漏らす。

「こんなに暑いのに温室に入りたいって樹ってMだね」
「飽きたら先に出てていいからね」
「それが予想外に楽しい」

楓は植物鑑賞を楽しんでいる樹の背中についていく。
そしていつか樹と海外旅行に行くことになって、東南アジアとか熱帯地方に行ったとしたらこんな感じなのだろうかなどと当てもないことを考える。
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