絶対にずっと好きだと証明しましょう
楓もシャワーを浴び、悩んだ結果、胸の上から巻いたバスタオルの下にパンティを履いてバスルームを出ると、樹はベッドに入って寝ていた。
なんだ。無駄な緊張がとけて馬鹿らしくなる。
サイドテーブルに置かれたサービスのミネラルウォーターを飲む。
樹が飲んだのだろう。
もう1本のボトルも半分くらい減っていた。
楓はバスルームに戻って髪を乾かした。
それからどうしようかと考えて、バスタオル姿のまま寝ている樹の隣にそっと体を滑り込ませた。
樹が起きないよう、背中を向けて目を閉じる。
背中に感じる樹の体温とブランケットを包むパリっとしたシーツの冷たい肌触りが心地よく、眠気など感じていなかったはずなのに瞬く間に眠りにおちていた。

目を覚ましたのは額に軽い衝撃を感じたからだ。
目を開けると肩を起こしてデコピンの形に指を丸めたままの樹が楓の顔を覗き込んでいた。
ベッドに備え付けのデジタル時計に目をやると間もなく午後5時になるところだった。

「おはよう、よく寝てたね」

いつの間に起きたのか、樹はまるで自分は寝ていなかったかのような涼やかな顔で言う。

「起きてたんだ」
「ずいぶん前から。楓が起きるの待ってた」
「デコピンじゃなくてもっとスイートな起こし方は思いつかなかった?」
「残念だけど」

樹は楓を起こしておきながら、体を起こそうとした楓をベッドに押し戻す。
重なった唇が首筋へと滑り落ちていく。
その甘やかな感触に楓はまた目を閉じた。
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