絶対にずっと好きだと証明しましょう
「だってふたりともまだ就活中で忙しそうだったから」
就活中とか関係なく、美幸だけではなく樹にしてもいつ誰に会って何をしたかなんてことは自分から話さない。
そんな必要はないと思っている人たちにどうして? と問い詰めても話がかみ合うわけもなく、楓は「仕事は面白いですか?」とたいていの人が社会人の先輩に尋ねるありきたりな質問を美幸に投げかけやりすごすことにした。
「まあね。大変だけどやりがいはあるわね」と、こちらも新米社員のデフォルト的な答えが返ってきた。
しかしそう言ってグラスに視線を落とした美幸の表情はつかの間曇り、やりがいに満ちたルーキーらしさは感じられなかった。
この日の美幸はビールを飲むピッチが速く、途中からハイボールに変えて何度もお代わりをした。
最初は健夫や楓の面接での失敗談や企業の感想などで盛り上がっていたが次第に美幸の仕事の話になり、そのうち愚痴になっていた。
気づけば美幸はめずらしくかなり酔っていて、健夫が「もう帰ろう、送っていくよ」と言うと、「じゃあ樹君もおいれよ」と怪しい呂律で誘う。
楓が「美幸さん、私は?」と聞くと、とろんと忘却の眼差しで首を傾げただけだった。
就活中とか関係なく、美幸だけではなく樹にしてもいつ誰に会って何をしたかなんてことは自分から話さない。
そんな必要はないと思っている人たちにどうして? と問い詰めても話がかみ合うわけもなく、楓は「仕事は面白いですか?」とたいていの人が社会人の先輩に尋ねるありきたりな質問を美幸に投げかけやりすごすことにした。
「まあね。大変だけどやりがいはあるわね」と、こちらも新米社員のデフォルト的な答えが返ってきた。
しかしそう言ってグラスに視線を落とした美幸の表情はつかの間曇り、やりがいに満ちたルーキーらしさは感じられなかった。
この日の美幸はビールを飲むピッチが速く、途中からハイボールに変えて何度もお代わりをした。
最初は健夫や楓の面接での失敗談や企業の感想などで盛り上がっていたが次第に美幸の仕事の話になり、そのうち愚痴になっていた。
気づけば美幸はめずらしくかなり酔っていて、健夫が「もう帰ろう、送っていくよ」と言うと、「じゃあ樹君もおいれよ」と怪しい呂律で誘う。
楓が「美幸さん、私は?」と聞くと、とろんと忘却の眼差しで首を傾げただけだった。