絶対にずっと好きだと証明しましょう
「ドライブに行こう」

椅子に座るなり樹が予想外の提案をしてきた。
予想外と言うか、免許がないので不可能だろう。

「実技の予約が全然取れないのにどうやって? まさか無免許?」
「なわけないだろ。3万円追加して優先予約オプションを付けたんだよ。3月の中旬までには免許取る。車はユーゴ君から借りて、あと伊豆のリゾートマンションに部屋も持っているはずだからそこを使わさせてもらえばいい」
「ユーゴさん、貸してくれるかな?」

楓は今泣いたカラスがもう笑った状態で、樹の方に体を乗り出した。

「この間の借りもあるし、貸してくれるよ」

樹が言う”借り“とは、レストランでのりか子のデリカシーのない発言についてだろう。

「でも、またりか子さんが来るかも」

あのあっけらかんとした性格なら充分にあり得る。

「念のためユーゴ君には硬く口止めしておこう」
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