絶対にずっと好きだと証明しましょう
樹の強い要望で下田に行く途中で伊豆シャボテン動物公園に寄った。
お目当てはカピバラだ。
間延びした大きな顔に線のように細い一直線の目と小さな耳。
ぬぼーっとした様子が胸をえぐるほど可愛いと樹は静かに興奮し、傷心中のユーゴは心癒されると涙目になり、楓は樹にそれほどまでに可愛いと思われるカピバラに嫉妬を覚えた。
その後、城ケ崎で遊覧船に乗ったり吊り橋を渡ったりしながらリゾートマンションに到着したのは午後６時を回ったところで、日はすっかり暮れていた。

部屋は7階にあり2部屋とも同じ間取りの広い２LDK。
テラスからは海が見渡せるはずだったが暗くなった風景の中で空と海との境目はわからず、ただ闇からざざざざざざと響く波音が低く聞こえるだけだった。

リゾートマンションと言っても作りはホテルと変わらず館内に入るとすぐにゆったりとしたロビーが広がり、スーツを着たコンシェルジュがフロントデスクで様々な宿泊者の要望に応えている。
和洋中のレストランやバー、売店にフィットネスジムや屋内プールもあり、楓と樹は館内で食事をとるのだろうと思っていたが「俺、ここの料理、食べ飽きてんだよね」とユーゴが渋るので外に出て店を探すことになった。
土地勘のない樹と楓はスタスタと先を歩いていくユーゴの後に続く。
何か当てがあって歩いているのかと思えば特に当てもなく、ただ駅に向かっていただけだった。
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