絶対にずっと好きだと証明しましょう
駅までの道のり半ばで『鮮魚』と書かれた赤い提灯がぶら下がる店があった。
ユーゴは足を止め、扉の上部の小さなガラス窓から中をのぞくとここにしようと引き戸を開けたので2人も後に続く。
まだ早い時間にもかかわらず空いているのはカウンター2席とテーブル席が1つだけ。
店内は地元の人らしき人でにぎわっていた。

ユーゴは店の人に誘導されないうちに空いているテーブルの前に行き「ここ、いいですかー?」と両手に皿を手にしている女性の店員さんに大声で尋ねると、「どうぞー」と元気な声が返ってきた。
ユーゴは席につくなり「混んでいる、地元の人が多い店はいい店だ」と、断言した。
そしてその断言通り新鮮な魚とシンプルだが丁寧に作られた料理はどれも美味しかったし、店内をテキパキと動き回るお店の人は元気で感じがいいし、とても居心地のよい店だった

「さすがユーゴ君、料理を作るのも店を選ぶのも上手だ」

樹がキンメダイの煮つけを口に含みながら褒め「で、りか子さんについては聞いたほうがいいのかな、聞かないほうがいいのかな」と最初に確認をとる。

「聞きたいか?」
「別に」
「そうか、そんなに聞きたいなら話すよ」

辛いことは吐き出したいタイプらしい。
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