絶対にずっと好きだと証明しましょう
「そう言われればないですね」
「だろ。一樹とはうまくいってるんだろ」
「まあ一応。今週末会えなければ3週間会えないことになりますけど」

ユーゴとは3日連続で一緒に食事をしているというのに――と新たに運ばれてきたパッドタイに落とした視線を上げると、ユーゴが哀れむように楓を見ていた。
そして残念だなと言ってスマホの画面を楓の前につきだした。

ユーゴと樹のラインのやりとりを読む。
今日のユーゴからの誘いに樹は行けないとレスし、その理由は「ごめん、明日からアメリカに出張でばたばたしてる」で、さらに「いつまでだよ」「来週の火曜まで」という会話が続いていた。
楓はがくりと頭を下げた。

「樹から聞いていなかったのか」と聞かれ首を振る。
楓に送られてきたラインには「ごめん、今日は無理」としか書かれていなかった。

今回に始まったことじゃない。
樹は自分の予定を一々知らせてこない。
聞けば答えるというスタンスだ。

「ねえユーゴさん、こういうの普通なのかな」
「こういうのって?」
「聞かなきゃ何も教えてくれない。出張とか旅行とか、仕事で問題があったとか、家を出たことだって引っ越し寸前に聞いた。私は樹に何でもべらべら話すけど、きっと話さなかったら私が旅行で留守にしていようが引っ越していようが気にしないし気づきもしないんじゃないかな。これって普通なんですかね」
「普通って人それぞれ違うからなあ。俺の普通とりか子の普通だって相当イレギュラーだったし」
「だからうまくいかなかったんですよね」
「刺さるねえ」
「すみません、ビールのせいです」
「大して飲んでないくせに」
「樹のラインで急に酔いが回りました」
< 72 / 116 >

この作品をシェア

pagetop