絶対にずっと好きだと証明しましょう
ちょうど昼前に奥多摩に到着したのでさっそくバーベキューをすることにした。ユーゴが用意してきた食材は豪勢だった。クーラーボックスには肉にソーセージに野菜に、炙ればいい程度に下準備をした薄焼きピザまで、到底2人分では食べきれない量の食材が詰まっていた。

「これ、ものすごく上級のお肉じゃないですか?」
「ああ、店から最高級の肉をくすねてきた」
「フランから? それはだめですよ」

客から注文が入って冷蔵庫を開けたら肉が足りなかった、なんてことになったら大変だ。
お父さんの店とはいえ勝手に高級食品をくすねてきたら盗みになると楓は慌てた。

「なんてね。大丈夫。ちゃんとお金を払って余分に仕入れてもらったんだよ」
「さすがフラン」
「じゃなくて、俺だろ」

ユーゴはアウトドア用のステンレスの食器セットまで準備していて、肉も野菜もソーセージも網いっぱいに並べ、焼けると楓と自分の皿にどんどん乗せていく。
そして乗せたそばから部活終わりの高校生みたいな食べっぷりを見せるので、楓もつられて遠慮なく上等な肉を頬張った。
こんなたくさん食べられるか! と思っていたのに自然の中でのバーベキューは食欲を増加させるのか、最後のピザまできれいに食べつくし、食材用のクーラーボックスを空にした。

「あー食べたなあ。腹いっぱい」
「私もお腹がはちきれそうです」

楓がTシャツの上からお腹をさするとユーゴが俺もと真似をする。

「なんか楽しいなあ」
「楽しいですねー」
「楓ちゃんとだったら多分うまくいってたな」
「それはどうか。それにりか子さんだからときめいたんでしょう」

ときめかなくては恋は始まらない。
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