絶対にずっと好きだと証明しましょう
「ねえ、ユーゴさんじゃだめなの? 樹君なんてはっきりしない男を好きになるから苦労するのよ」と、目をキラキラ輝かせてユーゴをおすのは美幸だ。
昔は恋敵(と言うか横恋慕されていた)だったのに今では楓の一番の相談相手になっている。

初夏のテラス席でのランチ。
美幸はきれいにネイルされた爪がキラキラ光る指でワイングラスの縁を軽くぬぐった。
グラスの中の白ワインが光を反射しながら揺れる。

「あの、蒸し返すようですけど美幸さんだって樹のこと好きでしたよね」
「うん」あっさり認めた。
「で、自分の方が樹とお似合いとか思ってましたよね」
「うん」これも認めてから美幸は噴き出した。
「あのダイナーで初めて楓ちゃんと会った時、ぶっちゃけ楽勝だと思ったのよ」
「ぶっちゃけてくれますね」
「だって私、あの頃は若かったから今よりきれいだったし、モテてたし、無駄に自信があったのよ」
「今でもおきれいですけど」

美幸は大学を卒業してキャリアウーマンになるかと思いきや、入社した会社をすぐに辞めて24歳のときにさっさと結婚した。
相手はあの健夫で、学生時代からの押しの一手が実を結んだわけだ。
今では4歳の男の子と2歳の女の子のママとなり、昔クルクルときれいにカールさせていたセミロングヘアはショートボブになって濃いめのメークはナチュラルに変った。
余計なものを落とした分、美幸はより艶やかできれいになったと楓は思う。
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