絶対にずっと好きだと証明しましょう
目撃
地下鉄のホームに降りるとすぐに到着のアナウンスが流れ、美幸は間もなくホームに滑り込んできた電車に乗り込んだ。
座席はほぼ埋まっているが、立っている人は座席1列に対して3人程度とわりあい空いている。
美幸はドアに近い吊革につかまってぼんやり窓の外を見ていた。
2つ目の駅に停車したとき、目に入ったホームの男女の姿に美幸はハッとした。
20代に見える若い女性は男性の腕に自分の腕をからめ、愛らしい笑顔で男性を見上げている。
美幸はとっさにスマホで写真を撮った。
気づかれるかもしれないとちょっと緊張したが、2人はお互いを見つめ合っていてその心配はなかった。
電車の扉が開くと男性は笑顔で彼女に手を振り、美幸のいる車両に乗ってきた。
2人は電車が動き出すまでドアを挟んで見つめ合っていた。
電車がゆっくり走りだし完全にホームを離れると、美幸はドアの横にもたれて立っている男性に近づいていった。
「久しぶりね」
樹は振り返り一瞬考えてから、ああと思い出したような笑顔になった。
美幸が苦手な笑顔。
いつだって胸がキュッとする。
しばらくは胸の中に居座ってしまう笑顔。
美幸が樹と会ったのは健夫との結婚祝いで楓も一緒に集った食事会以来だ。
「久しぶり。髪、短くしたんだね。すごく似合ってる」
「樹君は驚くほど変わらないわね」
地下鉄のひと駅は短い。
すぐに次の駅に着き、扉が開くと美幸はせっかくだから少し話そうと樹の腕をつかんだ。
無防備だった樹はそのまま美幸に引っ張られて電車を降りた。
「ここでいいわ」
美幸はホームのベンチに座るよう樹を促し自分も腰を下ろした。
座席はほぼ埋まっているが、立っている人は座席1列に対して3人程度とわりあい空いている。
美幸はドアに近い吊革につかまってぼんやり窓の外を見ていた。
2つ目の駅に停車したとき、目に入ったホームの男女の姿に美幸はハッとした。
20代に見える若い女性は男性の腕に自分の腕をからめ、愛らしい笑顔で男性を見上げている。
美幸はとっさにスマホで写真を撮った。
気づかれるかもしれないとちょっと緊張したが、2人はお互いを見つめ合っていてその心配はなかった。
電車の扉が開くと男性は笑顔で彼女に手を振り、美幸のいる車両に乗ってきた。
2人は電車が動き出すまでドアを挟んで見つめ合っていた。
電車がゆっくり走りだし完全にホームを離れると、美幸はドアの横にもたれて立っている男性に近づいていった。
「久しぶりね」
樹は振り返り一瞬考えてから、ああと思い出したような笑顔になった。
美幸が苦手な笑顔。
いつだって胸がキュッとする。
しばらくは胸の中に居座ってしまう笑顔。
美幸が樹と会ったのは健夫との結婚祝いで楓も一緒に集った食事会以来だ。
「久しぶり。髪、短くしたんだね。すごく似合ってる」
「樹君は驚くほど変わらないわね」
地下鉄のひと駅は短い。
すぐに次の駅に着き、扉が開くと美幸はせっかくだから少し話そうと樹の腕をつかんだ。
無防備だった樹はそのまま美幸に引っ張られて電車を降りた。
「ここでいいわ」
美幸はホームのベンチに座るよう樹を促し自分も腰を下ろした。