絶対にずっと好きだと証明しましょう
「今まで楓ちゃんと一緒だったのよ」
「そうなんだ」
「樹君は今日も仕事だから会えないって楓ちゃんしょげてたけど、嘘だったのね」
「嘘?」
「余計なお世話だけど付き合ってもう何年たつの? 楓ちゃん、悩んでたわよ。いつまでたってもあなたの気持ちがわからないって。本気で私のこと好きじゃないんじゃないかって。でも彼女がそんな不安を私にぼやいているときあなたは他の女とデートしていたわけだ」

樹につめよりながら美幸のボルテージはどんどん増していく。
昔の自分を棚に上げ、楓以外の女と付き合っている樹が腹立たしかった。

「あれは――」

美幸は樹が弁解しようとするのを止めた。

「あなたの従弟のユーゴさん、とても優しいみたいね。楓ちゃん、ユーゴさんの話をするときはとても明るい顔するのよね。だからあなたじゃなくてユーゴさんにしたらって勧めたのよ。だって楓ちゃんはずっとあなたを好きで追いかけて、だけどいつまで? 樹君がいつか他の女性に乗り換えるまで? もし樹君の将来に楓ちゃんがいないなら、そろそろ解放してあげてくれないかな」

美幸が一気にまくしたてたところで電車がやってきた。
とりあえず言いたいことをぶちまけた美幸はそこで話を終えて電車に乗り込み、樹に振り返ることもしなかった。
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