絶対にずっと好きだと証明しましょう
「一緒に来ないかと楓ちゃんを誘ってもいいか」
「楓も仕事で一緒に赴任するってこと?」
「個人的に」

樹は答えにつまる。
個人的に海外赴任についてきてくれってことは、すなわちプロポーズになるのではないか。
いくらなんでも楓は樹と付き合っているのだ。
最近は仕事で会う時間が激減しているとはいえ、別にそれでもめているわけでも別れ話が出ているわけでもない。
それなのにいきなり? 
それとも2人の間ではそういう下地がすでにできているのか。
自分と楓との関係に変化はない――そう思っていたのは自分だけなのか? 
いろいろな考えが頭を巡り樹は上手に整理できない。

「楓の仕事は?」
「もちろん、そうなったら辞めることになるな」

楓は新しい商品開発に打ち込んでいて、ヒット商品を出すのだと張り切っていた。
年を重ねるごとに仕事の面白さも増していくようで、自分の企画を話すときの楓の表情はいつもいきいきしていて楽しそうだった。

「仕事はまだ続けたいんじゃないかな」
「俺の仕事を手伝ってもらうよ。で、将来的にはうちの店で生かしてもらえばいいし」
「でもそれはユーゴ君のやりたいことで、楓がやりたいこととは違うよね」

ユーゴがふっと笑った。鼻から息が抜けるようなシニカルな笑い方だった。
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