半径3cm未満に
「すっかり忘れてました⋯」

私がそう言うと先生はうん、と頷いた。

「忘れるような話なの?」

「えっと⋯。」

先生はそう言うと立ち止まった。

私もつられて立ち止まる。

「今日は日向さん不運続きの様子だね」

「はい」

しかもこれから家に帰るなんて…。

「家の人と、何かあるの?」

「何かって⋯何?」

私はうつむいて、拳をにぎった。

「日向さんを迎えに来てもらおうと思って電話したらしいんだけど、電話に出たと思ったら舌うちされて切られたって、相崎先生が言ってたから。」

「…すみません」

私の親って本当ひどいよね。

ついでに私のことも呆れてくれたらいいのに。
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