半径3cm未満に
7、先生と涙。
目を覚ますと、初めて見る時計が12時3分をさしていた。
どこだろう。
保健室じゃないけど、部屋の中には机があって、プリントが山積みになっている。
身体を起こして、制服がシワになっていることに気づいた。
それにこの匂い、どこかで匂ったことがある。
優しくて少し甘い、この匂いは――
「日向さん…目が覚めたんだね。」
――魚島先生の匂いだ。
扉の向こうからこちらに来て私のいるベッドの上に座った先生。
「体調は?
どこか悪いところはない?」
「…ちょっと、あたまが痛い、です…」
本当のことと嘘がまざった。