半径3cm未満に
「いや⋯」

「俺、昨日からずっと心配だったんだよ。
学校で泣いてたことでもいいし、耳のことでもいいから。
だから⋯教えてくれない⋯?」

心配そうに見つめる先生の目は優しかった。

「私…心暖と、気持ちがすれ違ってて…私が…心暖をはぶいてるって…勘違いされてて…。」

気づいたらそう言っていた。

そして、視界がだんだんぼやけてきた。

「そんなつもりはないんだけど…でも、それを心暖は千尋とか、早苗ちゃんとか、つむちゃんとかに相談してて⋯。
金曜日…先生と保健室で会う前、千尋と早苗ちゃんがっ⋯」

――「聞いた?コハちゃん、恋衣っちにはぶかれてるんだってね」

――「うん、聞いた聞いた。早苗も?」

――「うん、そうなの。
早苗も相談されてたから、その2人が気になっちゃって。
コハちゃん守らないとね」

涙が出てきそうで私は思わず下唇をかんだ。

「2人が、どうしたの⋯?」

「千尋と⋯早苗ちゃんがっ…私のことっ…私のことっ…」

――「コハちゃん守らないとね」

いやだっ⋯いやだっ…。

――「守らないとね」

やめて、やめてっ、やめてっ、やめっ…

――「守らないとね」
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