半径3cm未満に
私はバカだ。

もっとはやく、こうしておけばよかったのに。

「きちんと向き合えてるよ。」

「…んっ…。ありがと、ござ、ます…。」

「もう日向さんを1人にはしないからね。」

1人にはしないか。
でも、その言葉は。

あの時の私を、救ってくれた気がした。

「ふううっ…。せんせっ…。」

「もう、大丈夫だから。」

焼きはそう言うと私を先生から少し離して、私の涙を親指でぬぐった。

「あんまり泣き顔見ないで…」

はずかしくてそう言ってうつむいた。

でも。

「そう言われると見たくなるのが俺なんだよね。」
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