半径3cm未満に
先生は私と目をあわせようと顔をのぞきこんでくる。

「恋衣…意地悪でごめんな?」

今、恋衣って…、私の名前…。

「じゃあ、俺ご飯作るから。もう1回寝とき」

「え、まっ、待っ…私も作るよ…。」

ごしごしと目をこすってふとんからぬけ出し、床に足をつく。

「だーめ。俺が作るから。日向さん倒れちゃうよ?」

「や…倒れないし…。それに私もう、帰らないとーー」

いけないから、と言いかけて視界がぐにゃりと曲がった。

ー一体が傾いていく。

のままじゃ私、また、倒れ…?

「あぶなっかしい子だねえ」

その時の先生と私の距離は、少し近づけば唇にふれてしまえるぐらい近かった。

「…先生…」

再び先生が助けてくれた。

「だから言ったのに。…おかゆ、作っちゃうから、ちゃんと寝ててよ?」
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