半径3cm未満に


家に着いて、私は自分の傷を確認した。

アザになりそう…。

赤くはれあがっているところがたくさんある。

しかも白かったTシャツもワイン色に一部染まっている。

「今風呂わかしたからね。」

先生はそう言って優しく笑った。

「後で消毒してあげるね。」

「…先生できるの…?」

「…一応できるよ。救急箱あるし。」

「…そっか…。」

私は必死に口角をあげようとした。

笑えば、先生も少しは安心してくれるだろうし。

でも、1mmも頬はあがらなかった。

「…あ。」

「え、何?どうしたの?」

私は気づいてしまった。

下着の着替えが、ない。

Tシャツとかズボンとかは先生から貸りれるけど、さすがに下着はマズい。

同じの…着るの…?

家には…もう帰れない。
< 79 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop