時をこえて、またキミに恋をする。
その笑顔はわたしじゃなくて、都子姫に向けられているのだと思うと――。

そんな宗治から、わたしは目を背けたくなってしまった。


「いっそのこと、俺たちが祝言をあげるまでここにいろよ」

「え…!?」

「だって、びぃのその力のおかげで、都子姫ともう一度結婚できる機会が与えられたんだから」

「それは…そうかもしれないけど…」


宗治と都子姫が結婚するところなんて、…見たくないよ。

宗治は、わたしの気持ちにはまったく気づいていない。


「まぁ結婚を約束したのは、2年後の16歳だからな。それまでには春になれば桜は咲くし、びぃは現代に戻っちまうだろうな」

「…そうだよ!わたしだってあっちでの生活があるんだから、ずっとこっちになんていてられないよ」

「だよな。お前もいつか帰っちまうんだな。俺みたいに…」
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