時をこえて、またキミに恋をする。
「…うん、帰るよ。そうなったら、…本当にお別れだね」


わたしがそばにいないと消えてしまうから、いつでも宗治といっしょにいることに迷惑していたけど…。

今は、少しでも長く宗治の隣にいたいと思ってしまっている。


そのとき、ふとわたしの頬をなにかがかすめた。

ヒラリと膝の上に落ちたので、そのなにかを指でつまむ。


「…ん?」


月明かりに照らしてみると、それは桜の花びらだった。


「なんで桜の花びらが…?」


今のこの時代は7月。

こんな時期に桜が咲くはずがない。


――と思っていたら。


「…おっ、おい…びぃ!」


隣から、慌てたようにわたしを呼ぶ声がするから顔を向けると、宗治が空を見上げていた。


「どうしたの?」

「見ろよ、…あれっ!」


宗治に促されるまま、わたしも上に目をやると――。
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