時をこえて、またキミに恋をする。
「シー…!!声がでけぇよ…!」


慌ててわたしの口を塞ぐ宗治。


あまりにも驚いて叫びかけたけど、宗治に口を塞がれてからはあきれて言葉も出なかった。


竹刀袋の中にあったのは、なんと…『桜華』。

宗治が都子姫からもらった大切な刀だ。


「仕方ねぇだろっ…。桜華と離れるなんて考えられねぇんだから」


そういえば、登校初日も学校へ桜華を持っていこうとした宗治。

だけど、もちろん周りから止められて。


宗治が桜華を学校に持っていかないように、普段はお父さんが管理している。

そして、学校から帰ってきたら宗治に戻す――そんな毎日だった。


宗治にとって桜華は、肌身離さず持っていたい刀だということは知っている。


…だからって。

2泊3日離れるだけなのに、…わざわざお父さんの目を盗んでまで桜華を持ってこなくても。
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