時をこえて、またキミに恋をする。
「わかったよ。そのかわり、勝手に桜華を持ってきたこと、帰ったらお父さんにちゃんと謝りなよ」

「ああ!ありがとな、びぃ!助かる!」


宗治は安堵した顔を見せると、わたしに微笑みかけた。


「言っておくが、くれぐれも桜華だけは――」

「もう、わかってるって!安心して。責任持ってわたしが預かるから」


たぶん宗治は、桜華を握るたびに都子姫のことを思い出しているのだろう。


わたしにとっては複雑な気持ち…。


だけど、そんな大切なものをわたしに預けてくれることが…うれしかった。


前までは、わたしが桜華に指一本でも触れることは許されなかった。


…だから。

宗治はわたしのことを信頼してくれている。


そう思って…いいんだよね?


「都美ー!宗治くん、なんだって?」


部屋に戻ると、七海が声をかけてきた。
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