時をこえて、またキミに恋をする。
「なんか荷物が多いからって、わたしに竹刀を渡しにきて」


真剣を傷つけられるのが困るから、わたしのところへ避難させにきた。

…とは言えないから、怪しまれないような話をした。


「それ、宗治くん大事そうに抱えてたやつだよね?そりゃ、修学旅行に竹刀なんて持ってきたら邪魔になるよ」

「ほんとそれ」


わたしは、七海といっしょになって笑う。

竹刀袋に包まれた桜華は、部屋の隅にまとめていた自分の荷物のところへそっと置いた。


ここなら、男部屋みたいにまくら投げに夢中になって荷物を荒らされる心配もない。


『その刀は、俺の命よりも大切なものなんだ…!』


前に、そう話していた宗治。


だから、明日宗治へ無事に返すまでは、なにがあってもわたしが桜華を守る。


――そう思っていたんだけど。
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