時をこえて、またキミに恋をする。
「みんな!早く外へ!!」


先生たちが大声を出して誘導している。

そういえば、なんだか焦げ臭い臭いもする…。


そこでようやく、これは火災警報器の誤作動なんかじゃないと確信した。


「すぐに逃げよう…!!」


慌てて、同室の女の子たちと部屋を飛び出した。


学校では、毎年のように避難訓練をしていた。

だけど、本当に火事の現場に居合わせてしまったら、落ち着くなんてことはできなかった。


このときばかりは、避難するのに必死で…。


外に出て点呼を取ると、逃げ遅れた生徒はいないようだった。


出火したのは、ロビーの裏の本館にある調理場からだった。

男子部屋も女子部屋も調理場から離れていたところにあったのが幸いだった。


「…よかったね、みんな無事で」

「そうだね…」


七海とついさっきまでいた宿を見つめながら、ほっとため息をつく。
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