時をこえて、またキミに恋をする。
宗治と約束したから。

任されたのだから、その言葉のとおり、わたしが桜華を守るんだ。


唾をごくりと呑む。


「待って、都美…!!」

「ちょっと行ってくるね」


わたしは七海を心配させまいと笑って手を振ると、さっきまでいた宿の中へ駆け込んでいった。


中は、避難したときと同じように少し焦げ臭い臭いがするくらいで、本当に火事が起きているのかと思うほど変わりなかった。


一直線にさっきの女子部屋へ向かうと、開け放たれたままのドアから中へ入った。


散乱した布団の向こう側に、壁に寄せていたわたしの荷物が見えた。

そこに立てかけられている竹刀袋。


「…よかった、無事で」


紐を解いて、中の桜華をこの目で確認する。


これで宗治も安心するはずだ。


そう思ったとき、やけにさっきより部屋の中が焦げ臭いような気がした。
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