時をこえて、またキミに恋をする。
と思ったら、耳をつんざくような大声でわたしを怒鳴りつけた。


「こんなところでなにしてんだ、お前はっ!!!!」


鼓膜が破れるかと思うような声だったから、瞬時にわたしの意識も正気に返った。


「び…、びっくりした〜…」

「のんきなこと言ってる場合かっ!バカか、お前は!!死にてぇのか!」


と怒鳴ったあとに、わたしが胸に抱えていた桜華に気づく。


「…まさか。これを取りにわざわざ…?」

「だってこれ…。宗治の命よりも大切なものなんでしょ…?」


そう言って、宗治の顔を覗き込んだ。


この火事で桜華を失くしてしまったと知ったら、きっと宗治は絶望しただろう。

もしかしたら、都子姫に合わす顔がないなんて言って、立ち直れないかもしれない。


だから、なんとしてでも桜華はわたしが守らなければならなかった。
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