時をこえて、またキミに恋をする。
「おっ…下ろして、宗治!」

「下ろすか、バカ!しっかりつかまってろ!」


宗治はわたしを抱きかかえているというのに、迫りくる炎を飛ぶようにして軽々とかわす。

そして、あっという間に外へ飛び出したのだった。


懸命な消火活動により、火災はそれ以上広まることなく消し止められた。


その後、火災現場に無謀にも荷物を取りに行ったわたしには、消防隊員と先生たちからの説教が待っていた。


そして、火事の知らせを聞いて迎えにやってきたお父さんにもことの成り行きが伝えられ、わたしは大目玉を食らった。


だけど、怒られたのはわたしだけじゃない。


「なんで桜華を勝手に持ち出したんだ!!」


宗治も家までの帰りに、お父さんにこっぴどく怒られていた。


お父さんに頭をペコペコと下げて謝る宗治の小さく見える背中。
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